「爆買い」は完全消滅?2026年、韓国を占拠する中国人Z世代のリアルな懐事情と新トレンド
中国 人 観光 客 韓国の旅行トレンドが、かつてない地殻変動を起こしている。ソウル・明洞(ミョンドン)の免税店前に並んでいた大型観光バスの列は、今や過去の遺物だ。代わりに街を埋め尽くしているのは、スマホを片手に路地裏を練り歩く中国の若者たち。2026年現在、両国間の複雑な政治的ダイナミズムをよそに、現場では「体験型消費」への完全なシフトが完了している。
ソウル市内の主要商圏における決済データを分析すると、興味深い事実が浮かび上がる。団体ツアーから個人旅行(FIT)へと主役が移り変わる中、中国 人 観光 客 韓国での消費行動は「モノ」から「コト」へと劇的に変化した。高級ブランドバッグを買い漁る姿は消え、現地の若者が通うセレクトショップや、SNSで話題のヘアサロンに惜しみなく金を落とすスタイルが主流だ。この変化の背景には何があるのだろうか。
「爆買い」から「聖地巡礼」へ:聖水洞に群がるZ世代のホンネ

かつての定番ルートだった東大門や南大門は、今の若い旅行者にとって「退屈な場所」でしかない。彼らが目指すのは、ソウルの東部に位置する聖水洞(ソンスドン)だ。古い靴工場や倉庫をリノベーションしたカフェ、韓国発のインディーズブランドの路面店が立ち並ぶこのエリアは、平日昼間でも中国語の話し声で溢れかえっている。
「免税店で化粧品を大量に買うなんて、親の世代の旅行ですよ」。北京から訪れた23歳の大学生は、自嘲気味に笑う。彼女の目的は、中国のライフスタイル共有アプリ「小紅書(RED)」で見つけた、現地インフルエンサー御用達のカフェで写真を撮ること。そして、韓国の若者に人気のストリートウェアを現地調達することだ。所有することのステータスよりも、コミュニティでの共感と自己表現が消費を突き動かしている。
免税店は閑古鳥?コスメも「オリヤン」指名買いの現実
この地殻変動により、最も深刻な打撃を受けているのが大手免税店業界だ。かつて中国人バイヤー(代購)や団体客の落とす金で潤っていた売り場は、静まり返っている。一方で、街中のドラッグストア「オリーブヤング」や、路面店のコスメショップは連日大盛況だ。
中国国内のECインフラが極限まで発達した現在、一般的な化粧品はわざわざ韓国で買わずとも手に入る。旅行者が求めているのは「現地でしか体験できない価値」だ。パーソナルカラー診断に基づいたファンデーションのカスタムメイドや、限定コラボ商品の入手など、体験を伴う購買プロセスそのものがエンターテインメント化している。
ビザ緩和とLCC増便が後押しする「週末弾丸トラベル」
旅行のハードル自体も下がっている。中国と韓国の主要都市を結ぶ格安航空会社(LCC)の路線網が再整備され、週末を利用した2泊3日の「弾丸旅行」が定着した。ビザ申請手続きのデジタル化が進んだことも、若者のフットワークを軽くしている。
「金曜の夜にソウルに着いて、日曜の夜に帰る。国内旅行に行くのと時間的にもコスト的にも大差ない」と、上海のIT企業に勤める男性は語る。年に何度も日韓を行き来するリピーターの存在が、一過性のブームではない、より強固な観光市場を形成しつつある。
日韓の観光誘致バトル:日本が学ぶべき「コンテンツ力」の差
この状況は、インバウンド需要の獲得でしのぎを削る日本にとっても他人事ではない。日本を訪れる中国人観光客が「歴史、温泉、グルメ」といった伝統的な観光資源を求めるのに対し、韓国を訪れる層は「リアルタイムのポップカルチャー」を消費しに来ている。
韓国政府や民間企業は、K-POPや韓国ドラマのロケ地情報を迅速に観光コンテンツ化し、多言語でのSNS発信を徹底している。トレンドの寿命が短いZ世代のニーズに対し、即座に応えるこのスピード感とコンテンツの自己生産能力は、日本の観光業界が学ぶべき最大のポイントだろう。
2026年の展望:政治的リスクを抱えながらも続く草の根の交流
もちろん、地政学的なリスクが完全に解消されたわけではない。東アジアのパワーバランスや為替レートの急激な変動は、常に観光産業の頭上にぶら下がるダモクレスの剣だ。しかし、冷え込む外交関係とは裏腹に、民間レベルでの文化的な引力はかつてないほど強まっている。
国家間の壁を軽々と飛び越える若者たちの「好き」という熱量。それこそが、これからのインバウンド市場を牽引する最大の原動力であることは間違いない。ソウルの路地裏で繰り広げられる新しい観光のあり方は、アジアにおける国境なき消費社会の未来を先取りしている。 (出典: 中国 人 観光 客 韓国(Yahoo!ニュース))