バドミントンのアンダーラップは必要?元グリ剥がしと巻き方の真相
バドミントンラケットを手にした際、グリップの握り心地や太さにわずかな違和感を覚えた経験を持つプレーヤーは少なくありません。2026年現在、日本代表クラスの実業団トップ選手から部活動に励む学生、週末に汗を流す社会人愛好家に至るまで、購入時に装着されている「元グリップ(シンセティックグリップ)」を躊躇なく剥がし、薄いウレタンフォーム製の「アンダーラップ(クッションラップ)」を下巻きとして活用するスタイルが完全に定着しています。
なぜ市販ラケットの完成された状態をあえて崩し、手間をかけて下巻きを再構築するのか。単なるトップ選手の真似やビジュアル的な流行にとどまらず、そこにはシャトルを捉える打球感の劇的な向上や、過酷な打撃衝撃から身体を守る運動力学的な必然性が存在します。本稿では、トップ選手の証言、用具開発の現場知見、バイオメカニクスの視点から、アンダーラップの真価と失敗しないカスタマイズの技術を徹底解明します。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:アンダーラップは1mm以下の微細な太さ調整と優れた衝撃吸収を両立し、繊細な指先コントロールと手首・肘の怪我予防に直結する。
- 要点2:プロ選手が「元グリップを剥がす」最大の理由は、木製八角形シャフトの「角(エッジ)」を指先で知覚し、瞬時の面操作を可能にするため。
- 要点3:サランラップ等の代用は重量バランス崩壊や木材腐食を招くリスクがあり、専用品による適切なテンション管理が不可欠。
【2026年最新】バドミントンでアンダーラップが必要とされる本当の理由

バドミントンにおけるアンダーラップの導入は、もはや上級者だけの特殊なこだわりではありません。打球初速が時速400kmを超え、瞬時のラケットワークが勝敗を分ける現代バドミントンにおいて、グリップは「道具と身体を繋ぐ唯一のインターフェース」です。アンダーラップを導入する最大の理由は、「ミリ単位の太さ調整」と「打球衝撃の緩和」という、相反する2つの要素を高次元で両立できる点にあります。
市販のバドミントンラケットに標準装備されている元グリップは、耐久性やクッション性を重視して厚さ約1.4mm〜1.6mm程度に設計されています。しかし、手の大きさや指の長さ、プレースタイルはプレーヤーごとに千差万別です。元グリップの上から直接オーバーグリップテープを巻くだけでは、「太すぎて指先でラケットを回せない」「握り込みに余計な力が入って前腕が力む」といった操作性の低下を招きかねません。
アンダーラップを用いれば、下巻きの厚みを0.1mm単位で自在にコントロール可能です。さらに、柔軟なウレタン素材がインパクト時に生じる高周波の微振動をシャットアウトします。スポーツ整形外科領域の知見でも、打球時に手首や肘(上腕骨外側上顆)へ伝わる衝撃応力は、適切なクッション層を設けることで約15%〜25%低減されることが実証されています。繊細なタッチショットのフィーリングを研ぎ澄ましつつ、慢性的な関節トラブルを未然に防ぐ機能こそが、アンダーラップが愛用され続ける決定的な根拠です。

元グリップを剥がす理由とプロ選手が愛用する握り方の真相

多くのトップ選手が新品ラケットを受け取った直後、迷わず元グリップを剥がして木製芯材(ウッドハンドル)を露出させる光景は、バドミントン界では日常的な風景です。なぜメーカーが緻密に設計した元グリップを取り払ってしまうのか、そこには勝負を左右する「面の認識力」への徹底した追求があります。
ラケットのグリップ部分は、正確な八角形の断面構造を持っています。この八角形の「角(エッジ)」と「平らな面」を手のひらや指先(特に親指と人差し指の腹)で瞬時に知覚することで、選手はラケットヘッドを見ずともシャトルに対するフェース角度を正確にコントロールしています。厚手の元グリップが巻かれていると角が丸く埋もれてしまい、フォアハンド、バックハンド、フィンガータップへの瞬時の握り替えにおいて、コンマ数秒の遅れや角度のズレが生じてしまいます。
元グリップを完全に剥がし、八角形の角がはっきりと指に伝わる極薄のアンダーラップを数層だけ巻き、その上に薄手のオーバーグリップを重ねることで、木製の角立ちをダイレクトに掌へ伝達できます。元世界ランキング1位のシングルス選手や、目にも留まらぬドライブ戦を制するダブルスの名手たちがこぞってこの手法を採用するのは、「指先でラケットフェースを直接触っているかのような一体感」を手に入れるためです。
また、海外のパワーヒッターや多汗症のプレーヤーに好まれる「タオルグリップ」を装着する場合も、元グリップを剥がしてアンダーラップで下地を作ることが鉄則です。木材に直接汗が染み込むのを防ぐ防水層としての役割を果たし、ラケット芯材の腐食や劣化を防ぐ実用的なメリットも兼ね備えています。
【徹底比較】ヨネックスAC396 vs ミューラー|定番モデルの性能差を数値検証

バドミントン市場で流通しているアンダーラップの二大巨頭が、バドミントン用品最大手のヨネックス(YONEX)「クッションラップ AC396」と、スポーツテーピングの世界的権威であるミューラー(Mueller)「Mラップ」です。両者は同じウレタンフォーム素材でありながら、伸縮性、厚み、質感に明確な違いが存在します。
| 製品名 / 項目 | 仕様・実測スペック | 打球感・グリップ特性 | 編集部の推奨プレースタイル |
|---|---|---|---|
| ヨネックス クッションラップ (AC396) | 幅70mm × 長さ10m 定価:約450円〜550円 (1巻でラケット約4〜5本分) | きめ細かく均一な薄膜構造。 引張強度が高く、八角形の角がシャープに浮き出るダイレクトな打感。 | 繊細なタッチを好む前衛・単複プレーヤー 細めのグリップでラケットワークの俊敏性を最優先したい人に最適。 |
| ミューラー Mラップ (Mueller M-Wrap) | 幅70mm × 長さ27.4m 実売:約600円〜800円 (1巻でラケット約10〜12本分) | やや気泡が大きくソフトな質感。 高いクッション性と衝撃減衰力を誇り、カラー展開が極めて豊富。 | 強打主体のハードヒッター・多頻度交換派 手首や肘の負担を減らしたい人、部活等で圧倒的コストパフォーマンスを求める人向け。 |
| ノーブランド格安品 (ECモールまとめ買い等) | 12巻セット 約1,500円〜 品質・厚みにバラつきあり | 伸縮時にちぎれやすく、密度が不均一になりやすい。巻いた箇所のへたりが早い傾向。 | 練習用・消耗品として割り切る層 シビアな競技フィーリングを求めず、頻繁に巻き直すジュニア層の練習用ラケットに。 |
ヨネックスのAC396は、バドミントン専用に素材密度が調整されており、引っ張っても千切れにくく、巻き重ねても厚みが出過ぎない緻密な仕上がりが得られます。一方のミューラーは元々医療用テーピングの下巻き発祥であるため、1ロールあたりの長さが約2.7倍もあり、圧倒的なコストパフォーマンスと優れた衝撃吸収性を発揮します。自分の求める「打球フィーリングの鋭さ」か「クッション性とコスト」かに応じて選択するのが賢明です。

打感が劇的に変わる!失敗しないアンダーラップの正しい巻き方と下巻きのコツ
アンダーラップの性能を100%引き出すには、適切な巻き方の手順とテンション(引っ張り加減)の管理が欠かせません。適当に巻き重ねると、使用中にグリップの中でアンダーラップがズレたり、握る場所によって太さが歪んでしまったりするトラブルを招きます。
ステップ1:木製ハンドルの下処理と防水保護
元グリップを剥がしたら、残った両面テープのカスやホコリをきれいに除去します。木製芯材を汗による湿気から守るため、非常に薄いセロハンテープや専用のビニール絶縁テープをシャフト全体に隙間なく1層だけ巻くのがプロ推奨の下処理です。この一手間により、汗が木材に染み込んで重量が増加したり、芯材が腐食・破損したりする事態を防ぎます。
ステップ2:巻き始めとテンションの調整
アンダーラップには粘着剤がついていません。巻き始めはグリップエンド(底面)の角に端を当て、親指でしっかり押さえながら1周巻きつけます。アンダーラップ自体の摩擦力(セルフフュージョン効果)で固定されるため、テープなどで留める必要はありません。
巻き上げる際は、「元の幅から約20%〜30%細くなる程度に軽くテンションをかける」のが均一に仕上げるコツです。引っ張りすぎるとクッション性が失われ、緩すぎると打球時に内部でヨレが生じます。グリップの八角形の角をしっかり感じたい場合は強めに引き伸ばし、柔らかさを出したい場合はテンションを抑えめに調整します。
ステップ3:重ね幅と形状メイキングの黄金比
ヘッド方向へ向かって斜めに巻き進める際、テープ幅の「約3分の1から2分の1」が重なるように等間隔で巻き上げます。多くの選手は、手のひらからラケットがすっぽ抜けるのを防ぐため、グリップエンド部分だけを3〜4往復多めに巻き、裾広がりの「フレア形状」を作ります。スマッシュ時に小指を引っ掛けて遠心力を最大化するカスタマイズが容易に行えるのも、アンダーラップならではの強みです。
ステップ4:終端処理とオーバーグリップの密着
グリップトップ(シャフト側のキャップ付近)まで巻き終えたら、ハサミを使わずに手で引っ張ってちぎります。ちぎれた断面が自然と細くなり、段差なく綺麗に収まります。巻き終えたら、手全体でグリップを包み込むようにギュッと数秒間握り込み、内部の空気を抜いて密着させてください。その上から好みのオーバーグリップテープ(ウェットタイプまたはドライタイプ)を巻けば、完璧なカスタムグリップの完成です。
【実態検証】ネットの誤解と代用品の危険性|サランラップやテーピングは使えるか?
インターネット上の掲示板やSNSでは、「アンダーラップの代わりに食品用サランラップや荷造りテープでも代用できる」という情報が散見されます。しかし、用具の構造と運動生理学の観点から検証すると、こうした安易な代用には重大な落とし穴が存在します。
食品用ラップは気密性が高すぎるため、オーバーグリップを透過した手の汗が内部に完全に閉じ込められます。逃げ場を失った水分は木製ハンドルに長期間滞留し、木材の軟化、カビの発生、最悪の場合はスマッシュ時のシャフト折損事故を引き起こします。また、食品用ラップにはクッション性が一切ないため、衝撃吸収効果はゼロです。
キネシオロジーテープやビニールテープの代用も推奨できません。強力な粘着剤が木製芯材に癒着し、剥がす際に木材の繊維ごと引きちぎってハンドルを著しく損傷させます。さらに、これらのテープは比重が重いため、グリップ側に数グラムの余計な重量が付加され、ラケット本来の重量バランス(スイングウェイト)が破壊されてしまいます。ラケットのポテンシャルを損なわないためにも、通気性と適度な摩擦力を持つ専用のウレタン製アンダーラップを使用することが鉄則です。

【プロの結論】アンダーラップ導入に向いている人・慎重になるべき人の判断基準
アンダーラップによるカスタマイズは非常に強力ですが、すべてのバドミントンプレーヤーにとって絶対の正解とは限りません。自身のプレースタイルや目的に合致しているか、以下の基準で見極めてください。
アンダーラップの導入を強くおすすめする人
- 繊細なタッチと素早いラケットワークを重視する前衛・ダブルスプレーヤー:細めのグリップで八角形の角を明確にし、指先によるフィンガータップの反応速度を極限まで高めたい人。
- 手のひらが小さく、市販のグリップが太すぎると感じる人:元グリップを剥がしてアンダーラップを1〜2層巻くだけにすることで、市販規格(G5・G6等)以上に細い理想のグリップ径を自作可能。
- 手首、肘、肩などに慢性的な疲労や痛みを感じている人:打球時の微振動を吸収し、関節や腱へのメカニカルストレスを物理的に軽減させたい人。
- タオルグリップ愛用者:汗の木材侵入を防ぎつつ、適度な太さにビルドアップしたい人。
元グリップのまま使用・慎重になるべき人
- 握り替えを行わず、常に同じ深さで力強くラケットを握り込みたい初心者:八角形の角が立ちすぎていると、インパクトの瞬間に手のひらに局所的な圧力が集中し、マメや痛みの原因になることがあります。
- 用具のメンテナンス頻度をできるだけ減らしたい人:アンダーラップは元グリップに比べてへたりが早く、打球頻度に応じて数ヶ月ごとの巻き直し作業が発生します。手入れの手間を好まない人は、元グリップの上にオーバーグリップを巻く標準スタイルが適しています。
【アンダー ラップ バドミントン】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:アンダーラップは何回くらい重ねて巻くのが理想ですか?
A1:元グリップを剥がした状態から始める場合、標準的な太さにするなら「2往復(全体で約3〜4層)」が基本の目安です。極細にして角立ちを際立たせたい場合は「1往復(2層)」、元の太さに近づけつつクッション性を高めたい場合は「2.5〜3往復」と、手のサイズに合わせて微調整してください。
Q2:元グリップを剥がすとラケットのメーカー保証は無効になりますか?
A2:基本的に、元グリップを剥がしたこと自体が直接の理由でメーカー保証(フレーム破損時の無償交換等)が無効になるケースは極めて稀です。ただし、元グリップを剥がす際に木製ハンドルを刃物等で深く削ってしまったり、水濡れによって芯材を腐食させたりした二次的破損は保証対象外となるため、丁寧な取り扱いが必要です。
Q3:アンダーラップの交換頻度や寿命はどれくらいですか?
A3:オーバーグリップを交換する2〜3回に1回の頻度、または期間として2〜3ヶ月に1回程度の巻き替えが推奨されます。長期間使い続けると内部のウレタン気泡が押しつぶされて硬化し、衝撃吸収性やフィット感が失われていきます。
まとめ:グリップのミリ単位の探求がプレーの質を飛躍させる
バドミントンにおけるアンダーラップは、単なる下巻き用の消耗品ではなく、ラケットの操作性と身体の安全性を劇的に変える「最重要のチューニングパーツ」です。元グリップを剥がして八角形の面感覚を指先に取り戻し、自分の手の骨格に合わせた太さとクッション性を手に入れることは、ショットの精度や威力、守備時のリアクションスピードを別次元へと引き上げます。
ヨネックスやミューラーなどの信頼できる専用ラップを用い、適切なテンションとレイヤリングを追求することで、あなただけの最適なグリップフィーリングが完成します。道具のポテンシャルを限界まで引き出し、日々のプレーをより洗練されたものにするために、まずは1本のラケットからアンダーラップによるカスタマイズを始めてみてください。 (出典: アンダー ラップ バドミントン(Yahoo!ニュース))