名車か、それとも最後の仇花か?「22系クラウン」が2026年の今、中古車市場で異様な熱視線を浴びる理由
22 クラウンは、日本の道路事情に最適化された最後の「純粋なクラウン」として、今まさに再評価の嵐の真っただ中にある。2022年に生産を終了し、現行のクロスオーバーやスポーツといった多様な群へと変貌を遂げたクラウンファミリーだが、かつての「セダンこそ王道」と信じる保守派や、走りを重視する若年層の視線は、この15代目へと注がれ続けている。新車時の賛否両論が嘘のように、中古車市場での価格推移は底値を見せず、むしろ状態の良い個体は争奪戦の様相を呈しているのだ。
ニュルブルクリンクで鍛え上げられたというその走りは、欧州のプレミアムセダンに対抗すべく開発された経緯を持ち、歴代の中でも極めて異質なスポーティさを誇る。伝統的なロイヤルサルーンの看板を下ろし、アスリートの遺伝子を統合した22 クラウンのシャープなハンドリングは、一度ステアリングを握れば多くのドライバーを魅了して止まない。実用性と走りの楽しさを絶妙なバランスで両立したこのモデルが、なぜ今になってこれほどまでに愛されるのか、その背景に迫る。
「クラウンらしさ」の終焉と、RSグレードが放つ唯一無二の輝き

かつておじさんの乗り物と揶揄されたクラウンのイメージを根底から覆したのが、この15代目だ。特に「RS」の名を冠したグレードは、メッシュグリルと左右4本出しのマフラーを奢られ、従来の顧客層を驚愕させた。クラウンの象徴だった「ロイヤル」と「アスリート」の廃止は当時大きな議論を呼んだが、結果としてこの統合が、若年層へのアピールに成功したと言える。2026年の今見ても、その低重心で引き締まったプロポーションは古臭さを一切感じさせない。
2026年現在の中古車相場:狙い目は2.5Lハイブリッドか、それとも2.0Lターボか

現在の中古車市場において、このモデルの相場は非常に興味深い動きを見せている。新車価格から考えると信じられないほど手頃な200万円台前半から狙える個体がある一方で、走行距離が少なくコンディションの良い「RS Advance」などは、350万円以上の高値を維持している。特に維持費とパワーのバランスに優れた2.5Lハイブリッドモデルは、タマ数が多いものの回転が非常に早い。一方で、軽快なフロントノーズと小気味よい加速を楽しめる2.0Lターボは、隠れた名車としてマニアの間で指名買いされている状況だ。
ニュルで磨かれたTNGAプラットフォームがもたらす、欧州車超えのハンドリング

トヨタが本気でドイツの牙城を崩しにかかった証拠が、その骨格にある。GA-Lプラットフォームを採用し、エンジンをフロント車軸後方に寄せることで、理想的な前後重量配分を実現した。開発陣がドイツの過酷なサーキット、ニュルブルクリンクに張り付き、徹底的に足回りをいじり倒したのは有名な話だ。その結果、高速道路でのレーンチェンジや山道でのコーナリングでは、まるで路面に吸い付くような安定感を見せる。荒れた路面でのいなし方は、まさに日本の高級セダンそのものだ。
「幅1,800mm」という日本規格がもたらす、都市部での圧倒的な使いやすさ
現行の16代目クラウンが全幅1,840mmへと大型化し、グローバル市場を見据えたサイズになった今、このモデルの「全幅1,800mm」というサイズ感が改めて神格化されている。日本の狭い路地や、都市部に多く存在する立体駐車場の制限を難なくクリアできるこのサイズは、日常使いにおける最大の武器だ。日本のインフラにこれほど寄り添いながら、クラストップレベルの居住性を確保したパッケージングは、今後二度と現れないかもしれない。
オーナーたちが語るリアルな不満と、それを凌駕する所有満足度
もちろん、すべてが完璧なわけではない。オーナーからよく聞かれる不満点の一つが、ナビゲーションシステムをはじめとするインフォテインメントの操作性だ。上下に分割されたデュアルディスプレイは、直感的な操作が難しく、スマートフォンの連携機能も現代の水準から見ると一世代前の印象を拭えない。また、リアシートのヘッドクリアランスがクーペ風のルーフラインによってやや犠牲になっている点も指摘される。しかし、それらの欠点を補って余りあるのが、静粛性と高速巡航時の圧倒的な疲労感の少なさだ。
最後のFRセダンという遺産:私たちが今、このクルマを選ぶべき理由
自動車業界がEVシフトやSUV一辺倒へと舵を切る中で、FR(後輪駆動)のセダンという選択肢は急速に失われつつある。だからこそ、この車は今、特別な価値を持つ。実用的なファミリーカーとしての役割を果たしながら、ドライバーには走る喜びを妥協させない。2026年という時代にあって、あえてこのクラウンを選ぶことは、合理性とエモーションを両立させる最もスマートな選択肢の一つと言えるだろう。手に入るうちに、この極上のドライビングプレジャーを味わっておくべきだ。 (出典: 22 クラウン(Yahoo!ニュース))